2023年8月7日から僕は小説家になった
僕は、僕自身が小説家であることに気がついた。
2023年8月7日のことである。
突然、僕には小説を書く能力があるのだと確信したのだった。
小学生の頃から、小説家になりたくてたくさんの小説を読んできた。
何冊も小説の書き方やシナリオ理論の本を読んで、何回も何回も小説執筆に挑戦しては、結局何も形にすることができなくて、やっぱり僕には小説なんか書けるわけがない、小説家なんてのは特別な才能に恵まれた天才にしかできないのだと、挫折感とコンプレックスを抱えて生きてきた。
でも、今は違う。
毎日、僕は小説を書くことができている。
あれほど憧れていた小説家になることができた。
僕は大体朝5時に目が覚めるので、家族が起きてくる朝7時までの2時間、MacBook Airを開いて、40字×40行の縦書きに設定したPagesで文章を紡いでいる。
これまでの人生の分岐点を考えると、大学進学、就職、結婚、長男の誕生、長女の誕生があった。大学生となり、地方公務員となり、夫となり、父となり、もうこれ以上何かになるということはないと思っていたが、35歳にして小説家になった。
文章なんて下手くそでいい。
ストーリーが陳腐でもいい。
不可能犯罪や密室殺人などの本格ミステリーにこだわらなくていい。
評価されなくていい。読まれなくていい。
ひたすら、僕にしか書けないことを、僕が書きたいように書けばいい。
言葉にしてみればたったそれだけのことだった。
だから僕は、明日も小説を書く。
芦花公園著「ほねがらみ」幻冬舎文庫
【チープカシオ】CASIO B640-1BJのの魅力
チープカシオCasio B640-1BJFは、ブラックIP加工のステンレスベルト・反転液晶・ケースも文字盤もすべて黒一色のデジタルモデルだ。真っ黒なので私は勝手に「黒子(くろこ)」と名付けている。パッと見だとスマートウォッチのように見える。私は外出時に装着することが多い。
チープカシオの中では高価な一本で、定価は税込6,270円(他のチープカシオ約3本分である。私の妻に言わせれば「値段が3倍もする理由がわからない」とのこと(笑))。
ブランド戦略のために取り扱いはカシオオンラインストアやBEAMSなどに限られている模様で、値引き販売もされていない。私も定価でBEAMSの店頭で購入した。
トノー型と呼ばれる樽のようにサイドが丸く膨らんだデザインが特徴的。黒くて目立たないので、フォーマルなシーンで着用しても、それほど場違い感がない。
ムーブメントは3294。タイマー、マルチアラーム、うるう年に対応した2099年までのフルオートカレンダー機能など、一般的なデジタルタイプのチープカシオよりも機能が充実している。その分電池寿命は短く、一般的なデジタルモデルのチープカシオが約7年のところ、本モデルは約3年と半分程度だ。
時間の精度は一般的なデジタルモデルのチープカシオより優れていて、ズレが小さい実感がある。
LED照明は明るく暗所でも見やすい。残照機能が付いていて、右上のボタンを1度押すと約2秒間オレンジ色に光る。
黒が好きな人にオススメしたい。
芦花公園著「聖者の落角」角川ホラー文庫
佐々木事務所シリーズ第3作目の「聖者の落角」読了。
素直に感想を書けばよいところを話が遠回りになってしまうのだが、私が地方公務員の仕事を選び、うつ病で休職している現在も復職を目指している理由は、私の仕事を通して、誰一人として自ら死を選ぶことのない社会をつくることに貢献したいという信念があるからである。
自治体で働いていると、子どもの貧困や虐待、命に関わる病気・障害、不当な人権侵害などの厳しい現実に直面する人々を目の当たりにする。一人の担当者として個々人や地域の抱える問題を認識した以上、見て見ぬふりはできないので自分にできる仕事を全力でやり、問題解決に貢献してきた自負も少なからずもってきた。その一方で、仕事をすればするほど、思い通りにはならないことは雪だるま式に膨らんで行くし、組織の方針と自分の信念との乖離に苦しんだりして、やるせない虚しさが心を占めるようになり、過労も相まってうつ病になってしまった。
本書は子どもの病気・障害が原因となって生じる「不幸とその救済」というテーマに向かい合っている。主人公の佐々木るみは、病気・障害をもつ子ども自身とその家族らが不幸な存在だと主観で決めつけることなく、あくまでも心霊案件のクライアントとしてニュートラルに接していく。るみとは対照的に、作中に登場する児童心理カウンセラーは、クライアントの不幸を自分自身の不幸に引き付けて抱え込んでいく。ストーリーが展開していくにつれて「他者を救済する者」を救済することの本質的な困難さが浮き彫りとなっていき、ああ、この児童心理カウンセラーのようにして私自身も潰れてしまったのだなと身につまされた。
心霊案件を扱う事務所所長の佐々木るみ、助手の青山くん、最強の拝み屋の物部、絶世の美青年の片山。このてんでバラバラに見える4人が繰り広げる人間模様には、その根底に互いへの尊敬と信頼、思いやりがあり、キリスト教の友愛の精神の一端に触れた思いがする。我々はみな一人だが、連帯し助け合うことができる。ホラー小説なのに心が温まる不思議な作品だった。
【チープカシオ】CASIO A158WA-1JHの魅力
チープカシオCasio A158WA-1JHは、ステンレスベルトのデジタルモデルだ。
私はこのA158WA-1JHのデザインが、数あるチープカシオの中で一番洗練されていると思っている。雰囲気に気品があり、ふるカシ時計のカジキモデルなどの正統的な後継者の風格さえ漂う。とにかくスマートで冴え渡った印象の腕時計なので、私は頭のスッキリしている午前中に好んで装着しており、勝手に「冴子(さえこ)」と名付けている。
角が丸みを帯びた8角形の文字盤の一番外側が極細の白いラインで縁取られ、その内側の紺色のラインがクラシカルな印象を際立たせる。文字盤に印刷されたアルファベットのフォントは老眼のひとには判別不能なほど小さいのだが、その配置と白・黄色・紺・臙脂の色のバランスがとても整っている。
ムーブメントはF-91Wなどにも採用されている名作の呼び声高い593で、時間は早まる方にズレる傾向がある。ズレるといっても月差+30秒以内なので実用に不便をきたすほどではなく、せっかちな個性があるように感じられてそこがまた可愛らしい。ケース・ベルト・留め具はすべて中国製。
ケース部分はステンレスではなく樹脂にメッキ加工がされている。使用していてケース部分のメッキの耐久性が問題となる印象はなく、日常的な用途で使う分にはメッキ剥がれを心配する必要はないと思う。
左上のボタンを押している間だけLED照明が薄ぼんやりと緑色に光る。この写真ではかなり明るく撮れているが、実際に真っ暗なところで使うとほんのり明るい程度で、暗闇のなかでの視認性はA168WなどのEL照明搭載モデルには劣る。
装着感がとにかく軽く、メタルバンドとは思えないほど。最初に購入するチープカシオとしておすすめしたい。
【チープカシオ】CASIO A168WA-1A2WJRの魅力
チープカシオCasio A168WA-1A2WJRは、ステンレスベルトのデジタルモデルだ。
レトロかわいい文字盤には、夜の街のネオンサインを彷彿とさせるシックな雰囲気があるので、私は夜に装着することが多い。ネオンサインからの連想で、私は勝手に「燈子(とうこ)」と名付けている。
角が丸みを帯びた8角形の文字盤には紺色の縁取がされ、そのすぐ内側に引かれた細く白いラインが全体の印象を引き締めている。文字のフォントが悪目立ちしておらず、文字の大きさ、配置、白・黄・青・橙の落ち着いた文字色が調和したデザインが美しい。
ムーブメントは3298で、この個体だけの特徴かは不明だが時間は遅れる方にズレる傾向にある。ズレるといっても月差は−30秒以内なので実用に不便をきたすほどではなく、おっとりした個性があるように感じられてそこがまたかわいらしい。
裏面はステンレスだが、ケース部分はステンレスではなく樹脂にメッキ加工がされている。使用していてケース部分のメッキの耐久性が問題となる印象はなく、日常的な用途で使う分にはメッキ剥がれを心配する必要はないと思う。
ELバックライトが明るく画面全体を照らすので夜間も見やすい。左上のボタンを押しているときだけ美しく青色に光る。